ぼかろの君あかり姫のお話

 地球からおよそ500光年のかなたにある『ぼかろの星』は超高文明化した万葉の世界でした。
 この星にある神木の時空桜はその花吹雪の中に包み込む人を時空を超えて、その人にとっての幸せの地に導く不思議な力を持っていました。

 はるか千数百年の昔、地球は和の国に文化・芸術・天文学に優れた一族がいたのですが、隣国の奇襲を受けた際、桜の巨木と共に花吹雪の中に消え去ってしまった… という話が伝わっていました。 
 それがぼかろ一族の祖先達でした。

 そのぼかろの星に、死期が近づいていました。
 そして時空桜も寿命を迎えつつあり、その力も衰えていました。
 人々は予言書にある約束の子として生まれた幼子、ぼかろの君あかり姫に、 残り少なくなってしまった時空桜の力をそそぎこむことにしました。

 ぼかろの君の眠るゆりかごが老木の下に置かれ、胸のうえにそっと閉じられた扇、秘宝の幸風扇が置かれました。 
 見守る人々の旅立ちの神歌ー越天楽がハミングされ南の風を呼び込み、やがてゆりかごは桜吹雪に包まれます。
 その時、一匹のうさぎがその中に飛び込みました。
 産まれた時から幼子の遊び相手だったポポロうさぎでした。
 桜吹雪はゆりかごもろとも宙に舞い、ひときわ輝き、やがて霧がはれるように消えていきました。 
 最後の力を使い果たした老木はこれを最後に朽ちていきましたが、この木の精霊はぼかろの君を守るべく共に旅立ちました。

 とある日本の里山、満月のおぼろづきよ、川辺の桜並木の花吹雪の中、ぼかろの君の姿が現れます。
 ポポロうさぎと共に少女となってぼかろの君あかり姫は”幸せの地”に導かれたのです。
 遠い先祖のふるさとの星でした。

 そして今、歌いはじめます。 
 人々の心が癒され,幸せがやってきますよう願いを込めて。